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July 04, 2009

『剣岳 点の記』を観る

 『剣岳 点の記』を観た。昨年夏に製作中であること知って以来待ち続けていた映画である。これには理由がある。まず新田次郎の原作であること。一時期はまってしまって立て続けに読んだ。基本的に「山」が好きだということ。体のことがなかったら、山登りが趣味の中心になっていたろう。地図が好きだということ。先日は千葉県香取市佐原の伊能忠敬の旧居を見学する機会があって感動してきた。地図さえ正確なら、一瞥でだいたい目的地に迷わず行く自信はある。

 ただ原作を読んだ限りにおいてはそれほどのクライマックスがあるわけでなし、とてもドラマチックなものになるとは思えなかった。

 出演は浅野忠信 香川照之など。でも主役は剣岳かな。人が死ぬわけでもなし、殴り合いがあるわけでもない。克服すべき相手は「剣岳」という日本で最後の「未踏峰」と言われた山である。陸軍の陸地測量部(現在の国土地理院にあたるのか)が地図作成のため三角点を設置し、測量する話である。創立直後の日本山岳会との初登頂争いも絡む。

 もちろん困難な仕事に立ち向かうのだから種々の問題が発生する。それが解決されていく過程がいい。映像で十分納得させられる。これぞ映画。

 浅野忠信演じる柴崎の仕事に真摯に取り組む姿勢がいい。浅野の演技も的確。香川照之は現在日本一のバイプレイヤーと言っていい。性格的にも体力的にも難しい役を見事に演じている。本年度助演男優賞候補。本映画ではほぼ主役に近い位置。宮﨑あおいの出番は少ないがさすがである。彼女がでるとやわらかい安息感がただよう。存在感のある役者だ。

 ファイナルクレジットがいい。見てのお楽しみにしておくが、キャスト・スタッフとも命がけの撮影だったろうと思う。大変な力作である。こういう映画に私は全く弱い。最後の「日本山岳会」との交流場面ではつい涙ぐんでしまった。監督は山と山に生きる人を愛してやまない方だということがよく分かった。

 山岳風景のなんと美しいこと。無理なことだとは分かっているが自分のこの目で直接見たいものだ。この国にこんなに美しいところがあるんだ。これだけでもシニア料金1000円はペイする。

 多少気になることはあったがそんなこと全て吹き飛ばしてもちろん★★★★★。映画館入り口に並ぶ観客はほとんど『トランスフォーマー』。日本人が誇っていい映画であり、観るべき映画である。

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 追記

 明日は休刊です。

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